XJR1200が誕生したのは、1994年、XJR400が93年にデビューした翌年。「日本人のビッグバイクを作りたい」と企画が開始されました。もちろん400ccの単なる排気量アップではありません。「スポーツ性の高いキビキビした走り」がXJR400なら、XJR1200は「大排気量によるビッグトルクを生かした鋭い加速、レスポンスをベースとしたスポーツ性の高い逞しい走り」を照準に開発されました。
新設計空冷DOHC4バルブエンジンのボア・ストローク及び3軸配置は86年登場の欧州向けツアラーモデルFJ1200(初代型FJ1100は1983年登場)を継承しましたが、吸排系を中心に大幅にリフレッシュ、ビッグネイキッドに相応しいエンジン特性を実現するとともに、ネイキッドを主張する新設計フレームと組み合わされました。
TPS(スロットルポジションセンサー)採用キャブレター、マップ制御点火系、オーリンスサスペンション、アルミ製リヤアームからワイドラジアルタイヤまで多岐に渡る新装備が注目されましたが、特筆すべきは“走り感”を作り込む定量化システムを導入して走行性能の開発が行われたこと。数値では表しきれないライダーの感性を動かす走りのエキサイトメントを具現化する開発プロセスが、このXJR1200から織り込まれていたのです。
98年、“21世紀のビッグバイクスタンダード”を提唱する新ビッグネイキッドとして登場したのがXJR1300です。XJR1200からXJR1300への進化でした。エンジン性能の進化、走行性能の進化、利便性向上などが施され、とりわけ放熱性の優れるメッキシリンダー、軽量化と振動低減に繋がる鍛造ピストンなどエンジン関連の熟成が特徴でした。
総合的な走りの性能としては、従来型の特色をもとに、排気量アップ等によるトルク感向上、タイヤサイズ変更による操縦性向上、新ワイラックスシートやサスペンションセッティング変更による乗り心地向上、などが特徴。幅広いユーザー層から人気を呼びました。
(※=ワイラックスとは、ウレタン内部にYRACS[ワイラックス]と呼ぶ衝撃吸収材を採用し、良好な足付き性と乗り心地を両立させるもの。衝撃からの反発力が少なく、乗車姿勢の安定化、優れた路面振動吸収力、良好なフィット感が特長)。
2000年、XJR1300は大幅なマイナーチェンジで生まれ変わりました。より一層スポーティなネイキッドの走りを実現するために、エンジンからボディまで細部をリフレッシュ。とくにバネ下重量が大幅に低減されました。
優れたドライバビリティに貢献するBSRキャブレター、内側に肉抜き処理を施した新軽量ホイール、新設計前後サスペンション、軽量高剛性ワンピースキャリパー採用フロントブレーキ、乗り心地に優れたTP(サーモ・プラスチック)ワイラックスシート、ウエスト部を絞った新フューエルタンクなどが採用されました。フレームと基本ディメンションは従来型を継承しているものの、これら新技術織り込みにより“モデルチェンジ”の概念を超えた“スポーティ”な進化を遂げたのです。
今日ラインナップに並ぶ2005年型XJR1300。基本スペックは、2000年誕生の第2世代XJR1300がベースですが、環境性能を先取りしながら常に熟成。ブロックパターンを継承しつつ、イヤー毎に投入される新しいカラーリングもXJR1300の静かな進化を語っています。
3代目のXJR1300は2006年11月末発売です。このモデルチェンジでは“スポーツは深く・広く”をキーワードに、エンジンから車体細部まで随所に新フィーチャーを投入。吸排系最適化による中低速を中心としたトルクアップ、レスポンスと環境性能に優れたFI、精悍な4-2-1の集合マフラー、最高級グレードのオーリンス製リアサスペンション(専用セッティング)などの効果が相まって、XJR1300ならでは幅広い使用シーンでの“スポーティな走り”に一層磨きがかかりました。